通販法務ハンドブック    
 
 

通販法務の基礎


基本的な法規制について



 インターネットの発達によって、通信販売ビジネスへの参入は格段に容易になりました。実際に、通信販売の経験が全くなかった企業や個人が、活発にインターネットを利用した通信販売を行っています。

ところで、仮に昨日まで専業主婦だった方であっても、通信販売ビジネスを始めた瞬間から事業者になります。そして、消費者に対する責任他の事業者に対する責任を担わなければなりません。

以下の4つの項目は、通信販売に携わるに当たって、必ず押さえておいて頂きたい法規制の基本中の基本です。今から通信販売を始める方は勿論、始めてしばらくの間経験を積んだ方にもしっかり理解して頂きたいと考えています。
 ①通信販売とは
 ②通信販売事業者と

 ③通信販売事業者の責務

 ④通信販売事業者が違法行為を行うと


 >>通信販売関連の主な法規制

 なお、この「通販法務の基礎」全文を個人のパソコンに保存したり印刷したい方は、最後にPDFで容易にダウンロードできるようにしてありますのでご利用下さい。 



■通信販売とは


 法律で規定する「通信販売」とは、たとえば新聞や雑誌、テレビ、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む)などによる広告や、ダイレクトメール、チラシ等を見た消費者が、郵便や電話、ファクシミリ、インターネット等で購入の申込みを行う取引方法をいいます(ただし、「電話勧誘販売」に該当する場合は除きます)。

ここでいう法律とは、特定商取引法(略称:特商法、以下、法)といい、通信販売を行う事業者は、必ず以下に記す諸規制に従わなければなりません。

■通信販売事業者とは

 
 「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいい、「事業」とは、同種の行為を反復、継続、独立して行うことをいいます。個人事業者の場合、例えば、通信販売を含む小売業や卸売業をしている人をはじめ、賃貸業や取引の仲介、運送、請負、加工、修繕、清掃、クリーニング、理容や美容といった業を営んでいる人はすべて事業者になります。さらに、医師、弁護士、公認会計士、税理士などの人も事業者になります。


 例えば暫く前にインターネット通販として話題になった「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」を行う個人のうち、自分の名前と費用で商品やサービスをそれらの供給者から購入して消費者に販売するためにホームページを開設し運営している「ドロップシッパー」は立派な通販事業者です。
 ちなみに、商品やサービスの紹介を行って消費者からの注文を供給者に仲介する「アフィリエイター」は、その限りでは通販事業者とはなりません。

 また、いわゆる「ネット・オークション」の場合においても、通販事業者とみなされる場合があります。詳細は、こちを参照して下さい。

 >>ネット・オークション出品が「通販事業者」とみなされる目安


■通信販売事業者の責務


 通販に従事する方は、法の定める以下の各項目を順守なさって下さい。


広告の表示(法第11条)

通信販売は、遠隔地者間の取引なので、消費者にとって広告は唯一の情報です。そのため、広告の記載が不十分であったり、不明確だったりすると、後日トラブルを生ずることになります。そのため法は、広告に表示する事項を次のように定めています。

 1.販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)

 2.代金(対価)の支払い時期、方法

 3.商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)

 4.商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品の特約がある場合はその旨含む。)

 5.事業者の氏名(名称)、住所、電話番号

 6.事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名

 7.申込みの有効期限があるときには、その期限

 8.販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額

 9.商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容

 10.いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境

 11.商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容

 12.請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額。

 13.電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス


通信販売における各表示事項についての詳細な説明はをご覧ください。

誇大広告等の禁止(法第12条)

法は、表示事項等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。


未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法第12条の312条の4) 

消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者は電子メール広告を送信することを原則禁止しています。(オプトイン規制)


前払式通信販売の承諾等の通知(法第13条)

 消費者が商品の引渡し(権利の移転、役務の提供)を受ける前に、代金(対価)の全部あるいは一部を支払う「前払式」の通信販売の場合、事業者は、代金を受け取り、その後商品の引渡しに時間がかかるときには、その申込みの諾否等、以下の事項を記載した書面を渡さなければなりません。

 1.申込みの承諾の有無(承諾しないときには、受け取ったお金をすぐに返すことと、その方法を明らかにしなければならない)

 2.代金(対価)を受け取る前に申込みの承諾の有無を通知しているときには、その旨

 3.事業者の氏名(名称)、住所、電話番号

 4.受領した金銭の額(それ以前にも金銭を受け取っているときには、その合計額)

 5.当該金銭を受け取った年月日

 6.申込みを受けた商品とその数量(権利、役務の種類)

 7.承諾するときには、商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)(期間または期限を明らかにすることにより行わなければならない)

契約解除に伴う債務不履行の禁止(法第14条) 
通信販売において売買契約の申込みの撤回等ができることから、契約当事者双方に原状回復義務が課された場合、事業者に
は代金返還など債務の履行を拒否したり、遅延したりすることを禁止します。

顧客の意に反して契約の申し込みをさせようとする行為の禁止(法第14条)
法では、たとえばインターネット通販において、

 1. あるボタンをクリックすれば、それが有料の申込みとなることを、消費者が容易に認識できるように表示していないこと

 2. 申込みをするさい、消費者が申込み内容を容易に確認し、かつ、訂正できるように措置していないこと

を「顧客の意に反して売買契約等の申込みをさせようとする行為」として禁止し、行政処分の対象としています。


具体的にどのようなケースがこれに該当するかは、 
「インターネット通販における『意に反して契約の申みをさせようとする行為』に係るガイドライン」 をご覧ください。


■通信販売事業者が違法行為を行うと


行政処分・罰則   

上記行政規制に違反した事業者は、業務改善の指示(法第14条)や業務停止命令(法第15条)などの行政処分のほか、罰則の対象となります。


事業者の行為の差止請求(法第58条の5

 事業者が、通信販売における広告について、不特定かつ多数の者に誇大広告などを行い、または行うおそれがあるときは、適格消費者団体は、事業者に対し、行為の停止もしくは予防、その他の必要な措置をとることを請求できます。


ダウンロードしたい方に

通販法務の基礎(基本的な法規制について)20130628.pdf 

 


 

通販法務の基礎


実務を行う上での留意点


このサイトでは、通信販売のビジネスステージを追う形で、関連する基本的な法規制を中心に守るべきルール・留意点について解説します。
なお、この「通販法務の基礎」全文を個人のパソコンに保存したり印刷したい方は、最後にPDFで容易にダウンロードできるように
してありますのでご利用下さい。




販売する商品を決定するに当たっては、その商品の購入者の「安全と安心」を確保できているかの確認が重要です。

品質の確認 : 病原菌を含む有害物の汚染や、事故の原因になる不安全な箇所がないことを確認します。(これらの項目に関する責任は製造業者が担うものですが、通信販売業者が法に定められた最低限の規制について確認することは、消費者の信頼を得る上で欠かせません)

表示の確認 : 商品には法定表示事項をはじめとする、消費者が商品を選択するための情報が正しく提供されていることを確認します。

知的財産権の確認 : 商品が、他の事業者のブランドやデザインなど知的財産を侵害していないことを確認します。

   >>実務マニュアル「売る商品を決める」





最初に、販売方式の確認をしておきましょう。当サイトは、通信販売を前提としています。
しかし、ユーザーの中には、通信販売のほかに、店舗販売やイベントによる販売などの通信販売とは異なる販売方法を一部で採用しているほか、電話による勧誘販売などを行っている、いわゆるクロスメディア販売方式を採用しているところもあると考えられます。
ユーザーとしては、店舗販売を除く夫々の販売方法ごとに、特商法に基づき、事業者の氏名等の明示義務や書面の交付義務などが規定されていることに注意を払うとともに、広告表現に関する様々なルールを定めている景表法をしっかり理解して法律違反のないようにしなければなりません。

・商品を手に取って見る事ができない通信販売は、その特性として「顧客が購入の意思決定を行う判断材料は事業者が行う広告しかない」ということを忘れてはなりません。
顧客は、届いた商品を手にとって初めて広告との同異、或いは、広告から自分が抱いたイメージとの同異を知ることができるのです。
従って、商品本体に表示がある場合には、広告の表示との間に「違い」があるなど許されません。「違い」には、「商品本体の注意表示があることを知っていたら購入の意思決定はしなかった」ということ(重要事項の不表示)も含まれます。
事故が起きてしまってからでは遅いことを肝に銘じておきましょう。

・次に、広告表示の意味を確認しておきましょう。
景表法の規程が基本になりますが、同法において、表示とは「事業者が顧客を誘引する手段として、商品・サービスの内容や取引条件について行う広告の表示」としています。そして、表示の例として、
  ①商品本体の表示(容器・包装を含む)、
  ②店頭における表示、ポスター・看板、
  ③チラシ、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットによる広告など  を挙げています。
私たち通販事業者は、ややもすると上記③のみに注意が向きがちですが、上記①の表示内容にも十分な注意とチェックが必要です。

・インターネットや電子メールを利用した広告(取引を含む)を行う場合は、その特性に応じた法規制が適用されます。
自社のサイト等が、この規制に適合していることを確認します。

   >>実務マニュアル「売り方を決める」





通販業務の様々な場面で、取引先とのコミュニケーションは欠かせません。取引先からの情報が過不足なく、タイムリーに入手できるよう予め項目と内容などを取り決めておくことも大切です。

・通販の生命線でもある広告表示を消費者にとって魅力的なものにするための工夫を凝らすのは通販事業者として当然です。しかし、広告表示には、表示の対象となる商品ほかサービスの内容に関する確実な根拠が必要です。取引先から提示された情報を尊重することは大切ですが、そのまま鵜呑みにせずに、常に事実関係を証明できる根拠をしっかり手に入れて、自信をもって広告表示を行えるように、取引先と連携して体制や関係作りを日ごろから行っていることが重要です。

・通信販売業者は、製造業者が行うような品質管理を行うことはできません。しかし、取引先を通じて商品の品質に関する情報を入手することで、製造業者が行った品質管理の内容を確認することは可能です。日頃から、製造業者とスムーズな連携が図られるような体制や関係の構築に配慮しましょう。

・顧客からの問合せ(含むクレーム)や事故対応においても、製造業者との連携は不可欠です。たとえ、安定した高品質な製品であっても、問合せ(クレーム)や事故に関する事実確認、原因究明、修理などの対応、或いは、最悪の場合はリコールなど対策実施の取り組みについて製造業者との間でルールを確認し合っておくことや、普段の連携を保っていることが大切です。

・顧客のニーズの変化や同業他社との競争に的確に対応して業績を拡大維持していくのは事業経営の醍醐味です。
その一環として様々なキャンペーンを展開しますが、その際、経費や価格下げ分の負担を取引先に協力してもらうケースも出てきます。しかし、その協力のあり方に関しては、取引先の保護の観点から法的な規制がありますので十分な注意が必要です。

   >>実務マニュアル「取引先との連携」




・消費者或いは見込み客との取引に当たって留意すべきポイントを採り上げます。リピーターとの取引においても留意点は基本的に変りません。
 

    >>実務マニュアル「顧客へアクセスを行う」




  

・売買契約の成立したお客様と通販事業者との相互の契約内容の遂行の問題ですが、ここでは主に通販業者が商品やサービスを、約束した品質を保ったまま納期通りにお客様に届けるに当たって注意しなければならないポイントを採り上げます。

  

・この項は現在準備中です。内容が整い次第、What’s Newでお知らせ致します。




一通り取引が完了した後から発生する、当該取引に関連して顧客から上がってくる様々な問合せへの対応について注意しなければならない以下のポイントを確認しましょう。


・どんなに優れた商品であっても、クレームや事故と無縁ではありません。問い合わせや意見などを含めた消費者の声に耳を傾け、速やかに適切な対応を行うことができるような体制を整備しなければなりません。顧客対応を的確に行うことで、顧客に当社への篤い信頼を持って頂くことも可能です。

・万が一事故を起こしてしまった場合、特に重大な製品事故による被害の拡大防止等のために、関係機関への報告や回収など法による手順が定められています。通信販売業者は、製品事故対応には関係ないなどということはありません。

制度を良く理解して顧客の安全と事故の拡大防止に積極的に努めましょう。

   >>実務マニュアル「販売後の対応」



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